======== AHC NEWS #63 ========
( 2007年6月20日発行 )

★私のアマチュア無線史(22)    JA3JM 清水 彰夫 


  
★サテライト通信

    1972年10月にアマチュア無線用の人工衛星が打ち上げられ、「AMSAT OSCAR 6 (AO-6)」と
  命名されました。この「AO−6」はアップリンク:145MHz、ダウンリンク:29MHzの
  トランスポンダーを搭載しており、「SSB」と「CW」でサテライト通信が可能です。

   CQ誌等でもこの「AO−6」の紹介や「サテライト通信」についての記事が多くなり、興味を
  そそります。しかし、この「サテライト通信」を行うのには「144MHzのSSB送信機」と
  「29MHzの受信機」が必要です。

   29MHzの受信機は現用の「IC−700R」で十分ですが、「144MHzのSSB送信機」は
  持っていません。当時、「日本電業」から「LINER−2」という「144MHzSSB
  トランシーバー」が発売されていましたが、給料2か月分以上の価格ですから簡単には購入できません。

   そこで持ち合わせていた「IC−200」(144MHzFMトランシーバー)を改造して「CW」を
  出せるようにしました。このFMトランシーバーはPLL方式で2m全体をカバーしていますし、
  オプションの「VFO」を接続すれば全バンドを連続してカバーできます。しかもSSB機と同じように
  「局部発信」とIF周波数と同じ「BFO」を混合して目的の周波数に変換していますので、この
  「ミキサー」をキーイングすればきれいな「CW」が送信できます。

   ついでに受信部の「IF」を取り出し、受信機に接続できるようにしました。使っていた
  「IC−700R」はIFが9MHzのシングルスーパーでRF部はバリコンとコアーを連動させてひとつの
  つまみで3.5MHzから29MHzまで連続カバーしています。従って「局部発信」をうまく組合せば
  IFの10.7MHzも受信できるのです。これで2mの「CW」と「SSB」が受信できるように
  なりました。

   その頃、2mSSBではJA3ACさんやJA3AUさんなどOMがたがよくラグチューをしていました。

  試しにこのラグチューにCWでブレイクしてみました。結構きれいなCW波が出ているようです。
  その後、CW−CWでも何局かとQSOし、これでサテライト通信も可能、という自信を深めました。

   しかし、難関がもうひとつありました。144MHzのビームアンテナをサテライトに向け、追尾する
  必要があります。方位と仰角を可変にしなければなりませんがとても二つのローターをそろえる
  ことはできません。そこで、実験的にやってみることにしました。アンテナを丸太に取り付け、その丸太を
  屋根に立てかけます。立てかける角度を変えて仰角を調整し、追尾は丸太を回転することにしました。

   当時はコンピューターもほとんど普及していませんでしたから、軌道情報はCQ誌などに、毎日各地
  (札幌・東京・大阪・福岡)で利用できるオービットのデータが掲載されていました。その記事で利用する
  オービットを決め、アンテナの仰角等を設定していました。

   1973年3月4日、9時40分頃に北西から南に抜ける「オービット#1745」があります。
  アンテナもうまく向けられるようです。AOSの時刻になりました。29.490MHz付近を受信すると
  何か信号が聞こえてきます。「UA9HG」のCQです。周波数換算表を見ながら145MHzの送信
  周波数を合わせるとビートが聞こえてきます。キーイングするとかなり遅れて自分の信号が聞こえてきます。
  そのビートを「UA9HG」の信号に重ね、「 de JA3JM 」と呼ぶと「 JA3JM de UA9HG ur 559」と
  応答がありました。0042UTC 、初めてのサテライトQSOの成功です。

戻る